無道路地の相続税評価とは?40%控除の仕組みと計算手順を解説
道路に接していない土地を相続すると、「どう評価すればよいのか」と迷いやすいものです。無道路地は通常の宅地より利用に制限があるため、相続税評価でも一定の減額が認められています。この記事では、財産評価基本通達20-3と国税庁タックスアンサーNo.4620をもとに、無道路地評価の考え方と手順の要点を一般論として整理します。
無道路地とはどのような土地を指す?
無道路地とは、道路に接していない宅地をいい、接道義務を満たしていない宅地を含みます(評価基本通達20-3(注)1)。
ここでいう「接道義務」とは、建築物を建てるために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件で、建築基準法その他の法令で定められています(タックスアンサーNo.4620)。この要件を満たさない土地は、建物の建築に制限がかかるため、評価上も通常の宅地とは区別して扱われます。
ただし注意点があります。他人の土地に囲まれていても、その他人の土地に通行の用に供する権利を設定している場合は、無道路地の評価の対象となる宅地には該当しません(タックスアンサーNo.4620)。囲まれているかどうかだけでなく、通行の権利の有無まで確認する必要があります。
無道路地の評価額はどう計算する?
無道路地は、通達20(不整形地の評価)または20-2(地積規模の大きな宅地の評価)で計算した価額から、その40%の範囲内で相当と認める金額を控除して評価します(通達20-3本文)。
つまり、まず接道している前提で不整形地などとして価額を求め、そこから接道していないことによる減額を差し引く、という二段構えになっています。控除の上限は評価額の「100分の40(40パーセント)」の範囲内とされています(通達20-3本文)。
ここで誤解されやすいのが、「常に40%を控除できるわけではない」という点です。控除するのは、接道義務に基づいて最小限度の通路を開設する場合の、その通路に相当する部分の価額です(通達20-3本文)。そのため実際の控除額は、次のいずれか小さい方となります。
| 比較する2つの金額 | 内容 |
|---|---|
| 通路相当部分の価額 | 実際に利用している路線の路線価 × 通路部分の地積(画地調整なし) |
| 評価額の40% | 通達20・20-2で求めた価額 × 40%以内 |
このうち小さい方が控除額になるため、通路相当部分の価額が40%に満たなければ、その通路相当額が控除額の上限を決めることになります。
控除する「通路相当部分の価額」はどう求める?
通路に相当する部分の価額は、実際に利用している路線の路線価に通路部分の地積を乗じて求め、奥行価格補正等の画地調整は行いません(タックスアンサーNo.4620)。
通常の宅地評価では奥行や間口に応じた補正率をかけますが、この通路相当額の計算ではそうした調整をしないのが特徴です。単純に「路線価 × 通路地積」で求める点を押さえておくとよいでしょう。
無道路地評価の手順はどう進める?
評価は「奥行価格補正後の価額を求める→不整形地等の補正を行う→通路部分の価額を差し引く」の順で進めます(タックスアンサーNo.4620・質疑応答事例)。
具体的には、(1)無道路地と前面宅地を合わせた土地の奥行価格補正後の価額から、前面宅地の奥行価格補正後の価額を控除して無道路地の奥行価格補正後の価額を求め、(2)不整形地補正(または間口狭小・奥行長大補正)を行い、(3)通路部分の価額を差し引いて評価額とします(タックスアンサーNo.4620)。
なお、不整形地補正率表の計算では、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用します(通達20-3(注)2)。タックスアンサーNo.4620の設例では、不整形地補正率0.79、間口狭小補正率0.90、奥行長大補正率0.90といった値が用いられていますが、これらはその設例の前提条件(普通住宅地区・間口2メートル等)による値であり、すべての無道路地に一律で当てはまる割合ではない点に注意が必要です。
接道義務を満たさない宅地は無道路地と同じ?
間口が狭く接道義務を満たさない宅地は「無道路地に準じた評価」を行い、控除するのは通路を拡幅するための費用相当額です(質疑応答事例19)。
道路には接しているものの間口が足りず建築に著しい制限がある場合、通路部分を拡幅しなければならないため、控除額は通路「拡幅」に相当する部分の価額(正面路線価に通路拡幅地積を乗じた価額)とします(質疑応答事例19)。通路を新たに開設する無道路地そのものの控除とは、控除する対象が異なるケースといえます。
また、前面宅地の奥行が短く奥行価格補正率が1.00未満になる場合、合わせた整形地より不整形地の単価が高くなり不合理となるため、当該奥行価格補正率は1.00とする調整が示されています(質疑応答事例19)。実務で誤りやすい点として知られています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無道路地は必ず40%減額されますか?
A. いいえ、必ず40%減額されるわけではありません。控除できるのは評価額の40%の範囲内であり、実際には通路相当部分の価額と評価額の40%のいずれか小さい方が控除額になります(通達20-3本文)。通路の面積が小さければ控除額もそれに応じて小さくなります。
Q2. 通路相当部分の価額はどう計算しますか?
A. 実際に利用している路線の路線価に、通路部分の地積を乗じて計算します。この計算では奥行価格補正などの画地調整は行いません(タックスアンサーNo.4620)。通常の宅地評価とは扱いが異なる点に注意が必要です。
Q3. 他人の土地に囲まれていれば必ず無道路地になりますか?
A. 必ずしもそうではありません。他人の土地に囲まれていても、その土地に通行の用に供する権利を設定している場合は、無道路地の評価の対象となる宅地には該当しないとされています(タックスアンサーNo.4620)。通行権の有無を確認することが大切です。
Q4. 道路に接しているのに評価が下がる場合はありますか?
A. あり得ます。道路に接していても間口が狭く接道義務を満たさない宅地は、無道路地に準じた評価を行うことがあります。この場合は通路を拡幅するための費用相当額を控除して評価します(質疑応答事例19)。個別の状況によって取扱いが変わるため、ケースに応じた確認が必要です。
Q5. 無道路地の評価はどの税金が対象ですか?
A. タックスアンサーNo.4620は相続税・贈与税を対象税目とし、根拠法令等として評価基本通達20-3を挙げています(タックスアンサーNo.4620)。相続で無道路地を取得した場合の評価にも、この考え方が用いられます。
まとめ
- 無道路地とは、道路に接していない宅地をいい、接道義務を満たさない宅地を含みます(通達20-3(注)1)。
- 評価の基本構造は、通達20または20-2で求めた価額から、40%の範囲内で相当と認める金額を控除する形です(通達20-3本文)。
- 控除額は一律40%ではなく、通路相当部分の価額と評価額の40%のいずれか小さい方となります(通達20-3本文)。
- 通路相当部分の価額は、路線価×通路地積で計算し、画地調整は行いません(タックスアンサーNo.4620)。
- 通行権を設定している場合は無道路地に該当しないなど、除外要件にも注意が必要です(タックスアンサーNo.4620)。
- 接道義務を満たさない宅地は無道路地に準じて評価され、控除対象は通路拡幅費用相当額となる点が異なります(質疑応答事例19)。個別事情によって取扱いが変わるため、具体的な評価は専門家への確認をおすすめします。