セットバックを必要とする宅地の相続税評価は?70%控除の仕組みを解説
建築基準法上のいわゆる2項道路に面した宅地は、将来の建替え時に敷地の一部を道路として提供(セットバック)しなければならない場合があります。この提供予定部分は建物の敷地として自由に使えないため、相続税の土地評価では一定の減額が認められています。ここでは根拠となる通達や控除割合の考え方を、一般的な内容として整理します。個別の判断は状況により異なるため、専門家への確認もご検討ください。
セットバックを必要とする宅地とは?
建築基準法第42条第2項に規定する道路(2項道路・みなし道路)に面し、将来の建替え時などに道路敷きとして提供しなければならない部分を持つ宅地が対象です。
幅の狭い古い道でも、一定の要件を満たすものは「みなし道路」として道路扱いされます(建築基準法第42条第2項)。こうした道路に接する土地では、建物を建て替える際に敷地の一部を後退させて道路に提供することが求められる場合があります。財産評価基本通達24-6は、この「将来、建物の建替え時等に…提供しなければならない部分を有する宅地」を評価減の対象としています(財産評価基本通達24-6)。
どの通達を根拠に評価する?
根拠は財産評価基本通達24-6「セットバックを必要とする宅地の評価」で、国税庁タックスアンサーNo.4604でも解説されています。
通達24-6は、道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額(通常どおり評価した価額)から、一定の算式で計算した金額を控除して評価すると定めています(財産評価基本通達24-6)。国税庁のタックスアンサーでは独立した番号ではなく、No.4604「路線価方式による宅地の評価」の中のQ&Aで「セットバックすべき部分については、通常どおりに評価した価額から70%相当額を控除して評価します」と説明されています(国税庁タックスアンサーNo.4604)。
控除額はどう計算する?
控除額は「自用地としての価額 × (セットバック部分の地積 ÷ 宅地の総地積 × 0.7)」で求めます。
通達24-6の算式は、提供しなければならない部分の地積を宅地の総地積で割り、そこに0.7を乗じる形です(財産評価基本通達24-6)。つまり土地全体の価額に対して、面積比に応じた割合だけを控除します。セットバック部分そのものに着目すると、その部分は通常評価額の70%が控除され、残る30%で評価されるイメージになります(国税庁タックスアンサーNo.4604)。
セットバックの幅はどう決まる?
一般的には、道路の中心線から左右に各2メートルずつ後退した線が道路の境界線とみなされ、その線まで後退します。
国税庁の解説では、道路の中心線から左右に2メートルずつ後退した線がその道路の境界線とみなされ、建替え時にその境界線まで後退(セットバック)しなければならないとされています(国税庁タックスアンサーNo.4604)。ただし、片側だけが後退して幅員を確保するケースやがけ地側の扱いなど、幅の具体的な算定は状況によって異なることがあり、個別の確認が必要です。
「土地全体が70%減」と考えてよい?
70%控除が及ぶのは宅地全体ではなく、あくまで「セットバックを必要とする部分」に限られます。
「70%控除」という言葉から土地全体が7割減額されると誤解されがちですが、控除額は面積比に0.7を乗じた金額にとどまります(財産評価基本通達24-6)。総地積に占めるセットバック部分の割合が小さいほど、全体への影響も小さくなります。全体を一律に70%減額するものではない点に注意が必要です。
24-6と24-7はどう違う?
24-6はセットバックの×0.7による控除、24-7は都市計画道路予定地に対する補正率の適用で、別の制度です。
名前が似ているため混同されやすいですが、根拠も仕組みも異なります(財産評価基本通達24-6・24-7)。
| 項目 | 通達24-6 | 通達24-7 |
|---|---|---|
| 対象 | 2項道路のセットバックが必要な宅地 | 都市計画道路予定地の区域内にある宅地 |
| 減額の仕組み | 面積比 × 0.7 の控除 | 地区・容積率・地積割合に応じた補正率を乗じる |
| 根拠 | 建築基準法第42条第2項 | 都市計画法の都市計画施設(道路)予定地 |
よくある質問(FAQ)
Q1. セットバック部分は評価額がゼロになりますか?
A. ゼロにはなりません。通達24-6の算式では、その部分について通常評価額の70%が控除され、残る30%で評価される考え方です(財産評価基本通達24-6/国税庁タックスアンサーNo.4604)。個別の事情により結果は異なることがあります。
Q2. 土地全体が70%減額されるのですか?
A. いいえ。控除が及ぶのはセットバックを必要とする部分に限られ、控除額は「自用地価額×(セットバック地積÷総地積×0.7)」で計算します(財産評価基本通達24-6)。全体への影響は面積比によって変わります。
Q3. どんな道路が対象になりますか?
A. 建築基準法第42条第2項に規定する道路、いわゆる2項道路(みなし道路)に面する宅地が対象です(財産評価基本通達24-6)。接する道路の種類は個別に確認する必要があります。
Q4. すでに後退済みの部分も同じように評価しますか?
A. 通達24-6は「将来、建物の建替え時等に提供しなければならない部分」を対象とする文言です(財産評価基本通達24-6)。すでに現況で道路として提供済みの部分の扱いはケースにより異なることがあり、一概には言えません。
Q5. 24-7の都市計画道路予定地と同じ扱いですか?
A. 別の制度です。24-7は補正率を乗じる仕組みで、24-6の×0.7による控除とは異なります(財産評価基本通達24-6・24-7)。どちらに該当するかは状況に応じて判断します。
まとめ
- 対象:建築基準法第42条第2項の2項道路に面し、将来提供予定のセットバック部分を持つ宅地が対象です(財産評価基本通達24-6)。
- 根拠:財産評価基本通達24-6と国税庁タックスアンサーNo.4604が解説の出所です。
- 算式:控除額は「自用地価額×(セットバック地積÷総地積×0.7)」で、係数は0.7です(財産評価基本通達24-6)。
- 誤解に注意:70%控除が及ぶのはセットバック部分のみで、土地全体の一律70%減ではありません。
- 幅の考え方:一般的に道路の中心線から左右各2メートルの後退線が境界とみなされます(国税庁タックスアンサーNo.4604)。
- 24-7とは別物:都市計画道路予定地の補正率とは仕組みが異なるため、個別の確認をおすすめします。